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遺産分割までの不動産賃料の行方 [相続]

昨日は、親子を巡る最高裁の判決がありましたので、
相続に関する最高裁の判決をご紹介します。


アパート経営をするAさんが亡くなりました。
Aさんには妻Bと三人の子C,D,Eの計4名の相続人がいます。

アパートから生じる賃料、管理費等については、遺産分割により帰属が確定した時点で精算することとし、それまでの期間に支払われる賃料等を管理するための銀行口座を開設し、各不動産の賃借人らに賃料を振り込んでもらい、管理費等の費用は支出していました。

遺産分割協議の結果、妻Aがアパートを取得することになりましたが、口座残高の清算方法について、相続人である妻Aと子どもたちとの間で争いになりました。

民法909条では、「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。」とありますが、相続開始時から遺産分割までの間の賃料はいったい誰のものになるのでしょうか?


最高裁の判例によると、
①遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生じた金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産であること。
②遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けない。
などを理由として、

相続開始から遺産分割決定が確定するまでの賃料債権は、相続人らの相続分に応じて分割単独債権として取得したものであり、口座の残高はこれを前提として清算されるべきとしています。

つまり、遺産分割により不動産が不動産を相続することになったとしても、遺産分割までの賃料については相続人B~Eの法定相続割合で分けることになります。


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航空会社のマイルの相続 [相続]

相続の際、亡くなった被相続人がためておいたポイントカードや航空会社のマイルは
どのように取り扱ったらよいのでしょうか?

全日空の会員約款によると、マイルは以下のように取り扱われるようです。

会員約款30条 会員の死亡
会員が死亡した場合、法定相続人は会員が取得していたマイルの譲渡を受けることができます。その際、要求者は、会員本人の死亡証明書と裁判所命令等、故人である会員の口座に残っているマイルの相続権を有することを確かに証明する書類を死亡後6ヵ月以内に提示する必要があります。相続の申し出が期間内になされない場合は、当該会員の積算マイルはすべて取り消されます。

相続税の申告期限は相続開始後10カ月以内ですが、
マイルの相続については6ヶ月以内に手続きがされないと
消滅してしまうようです。

相続人が買い物の多い方だったり、海外旅行をされていたりした場合
手続きをお忘れなく。

CIMG1995.JPG


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磯野家の相続 [相続]

東京23:00発の最終の上越新幹線で帰っています。
東京駅の駅員さんたちの最終の新幹線を送り出せば一日の仕事が終わるとみえて
だいぶリラックスした雰囲気。仕事が終わった後の解放間はどんな職場でも
いっしょだなぁと思いました。

往復の車中で、「磯野家の相続」という数年前に話題になった本を読み切りました。
著者は弁護士の長谷川裕雅先生。
クライアントに相続の説明をする際、できるだけわかりやすく理解してもらおうと
サザエさんの家族を例に説明したら意外に好評で、本にまでしてしまったとのこと。
6章から構成され、1〜4章までは、サザエさん一家を例に出して、相続の説明。
5,6章は遺言書の内容や書き方の留意点の解説。
相続で親族間のトラブルを避けるには遺言書の作成(特に公正証書遺言)が必要であるとの趣旨。
タイトルは軽い感じですが、後半は専門的な内容ですので、
遺言書の作成をお考えの方は、まず始めに読んでみるといい本だと思います。

あっという間に熊谷です。おやすみなさい。

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相続人に行方不明者がいる場合の相続について [相続]

ブログをはじめて約1年近くになります。
手の空いている10分くらいで簡単に書かないと長続きしないという思いから
これまでは地元の話や趣味の話が多かったですが、
税理士のブログでありながら、税金の話があまりないのもどうかと思いますので、
税金や相続などの話も織り込んでいきたいと思います。
今日は相続について

相続が発生したとき、遺産分割協議が終わるまでは、相続人は相続財産に手をつけることはできません。

もし相続人の中に以下のような人がいたら、遺産分割協議は進めることができません。
こんな時、どのような対応をしたらよいのでしょうか?

《ケース1.相続人の中に行方不明者がいる場合》
父の相続が発生。相続人は母と私と弟の3名。
ところが弟は世界を旅すると言って家を出たきりで、消息不明。 

不在者の行方不明が7年以上のときは、家庭裁判所に失踪宣告の申し立てをし、
失踪宣告の審判をしてもらうことができます。
この審判によって、不明者は不明になってから7年経過したときに死亡したとみなされます。

一方、行方不明が7年未満のときは、失踪宣告の申し立てはできません。
家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申立てをして、
選任された財産管理人が不在者に代わって遺残分割協議を行います。
ただし、財産管理人は不在者の財産管理をすることはできますが、
遺産分割協議などの行為は家裁の許可が必要になります。

《ケース2》は次の機会に。


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